11月7日の誕生花「ユーカリ」
――香りに癒され、想いを届ける葉――
11月7日の誕生花は「ユーカリ」。
花屋に立っていても、この時期になるとユーカリをお求めになるお客様がぐっと増えます。
お花よりも“葉っぱ”なのに、ユーカリが束に入るだけで、全体が一気に洗練されて見える。
その香りや形、色合いに、心を惹かれる方が多いのも頷けます。
今日はそんなユーカリの魅力を、花言葉や種類、飾り方、花屋としてのリアルなエピソードを交えてご紹介します。
シルバーグリーンの魔法
ユーカリと聞くと、まず思い浮かぶのはその独特のシルバーグリーンの葉色。
青みがかった緑は、光の当たり方によって表情を変え、花束やドライフラワーに上品なニュアンスを与えてくれます。
お花の世界で“グリーン”と呼ばれる葉ものは、主役の花を引き立てる存在ですが、ユーカリは少し特別。
花と同じくらい存在感がありながら、決して邪魔をしない。
そのバランスの良さこそが、多くのフローリストに愛される理由です。
しかも、香りも格別。
ほんのり甘くスッとした清涼感のある香りは、リラックス効果が高く、アロマオイルとしても人気があります。
お店でユーカリを束ねていると、空気がふわっと優しくなる。
その香りに包まれながら花を束ねていると、自然と気持ちまで穏やかになります。
ユーカリの花言葉
ユーカリの花言葉は
「新生」「再生」「思い出」「追憶」。
ユーカリは過酷な環境でも力強く育つ植物で、火事の後でも根から新芽を出して再生する力を持っています。
そこから「再生」や「新生」という花言葉が生まれました。
また、葉を束ねると香りが記憶に残ることから、「思い出」「追憶」という言葉も添えられています。
“いつまでも忘れないよ”という想いを花で伝えたいとき、ユーカリを添えると心に深く響きます。
人生の節目――卒業や旅立ち、別れの花束にユーカリがよく選ばれるのも、その象徴的な意味を持つから。
花屋としても、そういう“想いを包み込むような花材”として大切に扱っています。
種類豊富なユーカリたち
実はユーカリには600種類以上もの仲間がいます。
花屋でよく目にするのは以下のような代表的な品種です。
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ポポラス:丸い葉がコインのように可愛らしく、枝の曲線もやわらか。ドライフラワーにしても人気。
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グニー:小ぶりで香りが強く、花束やリースに向いています。
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シネレア:大きめの葉で存在感があり、ブライダルブーケにもよく使われます。
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ベイビーブルー:細長くスマートな葉が特徴で、シャープな印象を与えます。
どの種類も魅力的で、香りや形の違いを楽しめるのがユーカリの面白さ。
ブーケに使うときは、主役の花の色味や雰囲気に合わせて選んでいます。
たとえば、白いバラにはポポラス。
カジュアルな花束にはグニー。
ナチュラルなブライダルブーケにはシネレア。
たった1種類の葉で印象が変わる――それがユーカリの奥深さです。
ユーカリを飾る暮らし
花屋をしていて、お客様からよく聞かれるのが
「ユーカリってどう飾ればいいですか?」という質問。
実はユーカリはとても扱いやすい植物なんです。
まずはそのまま花瓶に生けるだけでOK。
茎を水に差しておくだけで、数週間は香りを楽しめます。
水に挿した状態で少しずつ乾いていくので、自然と“ドライフラワー”へと変化していくのも魅力のひとつ。
乾燥しても色が比較的保たれるため、リースやスワッグ(壁掛け)にもぴったりです。
壁に吊るすと、風が通るたびにほのかな香りが漂い、お部屋全体がナチュラルで落ち着いた雰囲気に。
ちなみに私は、店の入り口にいつもユーカリのスワッグを飾っています。
通りがかった人が「いい香り」と言って立ち止まってくれる瞬間が、とても好きなんです。
花屋が感じる“ユーカリの力”
花束にユーカリを添えると、不思議と全体がまとまります。
花が主役のようでいて、実はユーカリが全体の空気感を整えてくれている。
そんな“縁の下の力持ち”のような存在です。
たとえば白や淡い色のブーケには、ユーカリのグリーンがよく映えます。
逆に濃い色のお花には、ユーカリが中和役になってくれる。
色のトーンを調整する「調香師」のような役割なんです。
また、ユーカリの香りには抗菌作用やリラックス効果もあり、ストレスを和らげてくれるともいわれています。
お部屋に飾るだけで、なんとなく空気がすっきりするような感覚。
“香りで整えるインテリア”としても優秀です。
ユーカリを贈る意味
花束やリースにユーカリを添えるとき、そこにはさりげないメッセージが込められています。
「再出発を応援しているよ」
「新しい道を歩き出すあなたへ」
「思い出を忘れずに、また前を向いて」
そんな気持ちを、言葉にしなくても伝えてくれる。
だからこそ、送別や引っ越し祝い、転職祝いの花束にはユーカリを入れることが多いです。
お客様の中には、「この香りを嗅ぐとあの人を思い出す」と言って、毎年同じ季節にユーカリを買いに来てくださる方もいます。
香りと記憶は深く結びついている――それをユーカリが教えてくれます。
ドライフラワーとしての楽しみ方
ユーカリは時間が経っても形が崩れにくく、色も美しく残るため、ドライフラワー初心者にもおすすめです。
束ねて逆さに吊るしておくだけで、自然乾燥で約1〜2週間ほどで完成。
ドライになると香りは少し落ち着きますが、シルバーグリーンの色味はそのままに、上品な雰囲気を長く楽しめます。
インテリアに取り入れると、ナチュラルで落ち着いた空間に。
季節のスワッグやリースづくりにも欠かせない存在です。
ユーカリと季節の花の組み合わせ
秋冬の時期には、ユーカリは特に出番が多い季節です。
例えば…
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白×グレー系の花束(ユーカリ×コットンフラワー×ダスティミラー)
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落ち着いた秋色ブーケ(ユーカリ×チョコレートコスモス×ケイトウ)
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冬の贈り物ブーケ(ユーカリ×スプレーバラ×ヒムロスギ)
どんな花とも馴染みがよく、少し加えるだけで“抜け感”のあるデザインに仕上がります。
バンビーノでも、ユーカリを使ったブーケは人気商品。
特に「ナチュラルで香りのいい花束を」と言われたら、真っ先にユーカリを選びます。
おわりに
ユーカリは、派手さはなくても、心に残る植物。
強く生きる象徴でもあり、癒しを与える存在でもあります。
日々の暮らしの中で、心が少し疲れたとき。
大切な人に想いを伝えたいとき。
玄関やリビングにユーカリを飾ってみてください。
その香りが、きっとそっと寄り添ってくれます。
フラワーショップ バンビーノ
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