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関東盆について

関東盆について

「関東のお盆って7月?」今さら聞けない“関東盆”のこと、まるっとご紹介します。

こんにちは。大阪・京橋駅すぐの「フラワーショップバンビーノ」の棟平礼乃(とうひら あやの)です。
花屋という仕事柄、季節の行事や風習に触れることが多いのですが、この時期になるとよく聞かれるのが、

「え、お盆って7月にもあるの?」

というご質問。
そう、実は関東地方では“7月にお盆を迎える”地域があるんです。今回はそんな「関東盆(かんとうぼん/7月盆)」について、歴史的な背景から、最近の傾向、お供えにおすすめのお花まで、まるっとご紹介していきます!


◆ 関東盆とは?

まずは、関東盆ってなんなのか?について簡単に。

関東盆(7月盆)とは、毎年7月13日〜16日ごろに行われるお盆の行事のことを指します。
東京を中心とした関東の一部地域(神奈川、埼玉、千葉、静岡東部など)では、8月ではなくこの時期にご先祖さまをお迎えし、供養を行います。

対して、全国的に多くの地域で行われているのが「旧盆」または「月遅れ盆」と呼ばれる8月13日〜16日の期間のお盆。つまり、日本には大きくわけて2つのお盆の時期があるんですね。


◆ なぜ関東だけ“7月”なの?

「どうして関東だけ時期が違うの?」と思いますよね。
その理由には、**明治時代の「暦の改正」**が関係しています。

日本では明治5年(1872年)まで「旧暦(太陰太陽暦)」が使われていましたが、明治政府は西洋化を進める一環として、グレゴリオ暦(現在の新暦)を導入しました。

すると、これまで旧暦の7月15日(お盆の中心の日)は、新暦で言うところのおよそ8月15日ごろにあたることになり、多くの地域では「月遅れ」でお盆を行うようになりました。

でも、東京を中心とした都市部では、「新しい暦(7月15日)でそのまま行おう」という考え方が浸透。
それが今に続く関東盆=7月盆のスタイルになったんですね。


◆ 関東で7月盆が多い理由

関東の中でも、特に東京では7月盆が定着しています。その背景には、いくつかの理由があります。

● 商業・交通の利便性

明治以降、東京は政治・経済の中心地として急速に発展していきました。
新暦の導入により、官公庁や会社などのスケジュールが“新暦ベース”で動くようになったため、公的な行事も7月に合わせる流れになったといわれています。

● 農業が主要でなかった

農業が盛んな地域では、7月は農繁期にあたるため、旧暦ベースの8月盆が受け入れられやすかったのですが、都市部の東京では農業よりも商業の動きが優先されやすかったのです。


◆ 実は混在している地域も…

「じゃあ、関東は全部7月盆なんだね!」と思いきや、これがまた複雑。
関東地方の中でも、7月盆と8月盆が“混在”している地域もあるんです。

たとえば…

  • 神奈川県の横浜市や川崎市は7月盆が主流

  • 同じ神奈川でも相模原市は8月盆が多い

  • 千葉県や埼玉県も地域によって異なる

中には、親世代が7月盆・子世代が8月盆というご家庭もあって、お盆に帰省するタイミングが分かれたりもするそうです。

また、仕事や学校の夏休みに合わせて“帰省は8月・供養は7月”という二段構えをする家庭も増えているんだとか。
時代と共に、お盆の形も柔軟に変わってきているのがわかります。


◆ 関東盆の流れと過ごし方

では、関東盆の期間中にはどんなことをするのでしょう?
基本的な流れは、全国共通の「お盆」の行事と同じです。

● 7月13日(迎え盆)

  • 玄関先や庭先で迎え火を焚く

  • ご先祖さまをお迎えするための精霊棚を用意

  • 仏壇やお墓にお花やお供えを

● 7月14〜15日(滞在)

  • ご先祖さまと家で一緒に過ごす

  • お寺での施餓鬼法要に参加することも

● 7月16日(送り盆)

  • 送り火を焚いて、ご先祖さまをあの世へお見送り

  • 川や海に送り流す「精霊流し」をする地域も

都会では火を焚くことが難しい場合もあるので、最近は「LED迎え火」や「簡易お盆飾りセット」なども人気です。
昔ながらの風習を、今の暮らしに合わせた形で守っているご家庭も多いですよ。


◆ お盆に贈るお花・飾るお花

お盆といえば、やっぱりお花が欠かせませんよね。
ここでは「お供えにふさわしいお花」や「選び方のポイント」などをご紹介します。

▶ よく使われるお盆の花材

花の名前 特徴
リンドウ 故人を偲ぶ花。涼しげで長持ち
トルコキキョウ 柔らかく優しい印象。お供えの定番
スプレーマム(洋菊) 菊といっても洋風で華やか。色も豊富
カーネーション 清楚な印象で、長く楽しめる
ユリ 高貴で香りも強く、特別な意味合いに

※香りの強いユリは、苦手な方がいる場合は控えめにすると◎。

▶ 色合いのポイント

昔ながらのお供えといえば「白一色」でしたが、最近は

  • 白+グリーンのナチュラル系

  • 白+紫のしっとり系

  • パステルカラーを少し混ぜたやさしい雰囲気

など、**「心が落ち着く色合い」**が好まれる傾向に。
「派手じゃないけど、温かみのある色合い」が、今のお供え花のトレンドです。


◆ 花屋から見た“関東盆”の準備アドバイス

フラワーショップで働く立場から、お客様によくお伝えしていることをいくつかご紹介します。

● できれば予約を!

関東盆は毎年7月半ばなので、「うっかり忘れてた!」という方も多く、直前はとっても混み合います。
お墓参り用の仏花、アレンジメント、配送用のお供えなどは、1週間前までのご予約がおすすめです。

● 配送も早めが安心

遠方に住む親族へのお供えや、お寺に直接送るケースも増えています。
配送は天候や混雑で遅れが出る場合もあるので、余裕を持ったスケジュールで!

● アレンジメントか花束か?

すぐ飾れる「アレンジメント」が便利ですが、お墓参り用には「仏花(花束)」を2束セットで用意するのが一般的です。
どちらにすべきか迷ったら、渡す相手や飾る場所を教えてもらえると提案しやすいですよ。


◆ これからのお盆は「心を届ける形」で

お盆の過ごし方は、時代と共に少しずつ変わっています。

  • 迎え火・送り火は難しくなってきた

  • 親族が離れて暮らしていて集まりにくい

  • 仏壇がない家庭も増えている

でも、どんな形であっても、「ご先祖さまに手を合わせる」「故人を思い出す」
その気持ちがあれば、それが現代のお盆のかたちだと思うんです。

お花を供えるというのも、その一つの表現方法。
たとえば、白いトルコキキョウを飾って、そっと目を閉じて思い出に浸る時間。
そんな小さなひとときが、ご先祖さまへの最高の贈り物になるのではないでしょうか。


◆ 最後に

関東盆は、関西育ちの私にとっても最初は不思議な風習でした。
でも、お客様のご依頼やご相談に寄り添ううちに、そこには地域の歴史や家族の絆が深く息づいていることを感じるようになりました。

「うちは7月やから、もうお墓参りしてきたよ」
「お仏壇に今年もお花を飾ったよ」
そんな一言の中に、その方のご先祖さまへの想いが詰まっているんだと思います。

お花は、言葉では伝えきれない“気持ち”を届けてくれるもの。
関東盆を迎える方も、これから迎える方も、どうか心あたたまるひとときを過ごせますように。


【店舗情報】

フラワーショップバンビーノ
📍大阪・京橋駅からすぐ
📞 06-4801-8741
🕒 営業時間:10:00〜19:00
🛏 定休日:火曜・日曜
📸 Instagram:@bando_bambino

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